ITコーディネータ 針生徹 の blog |
頭数合わせ→繰り上がり→値踏み→遠距離→萌芽→個別研修→単調子→チョロQ→衝動買い
プロジェクト自体はもっと長かったが、針生が火消しに呼ばれてさらに油を注いでからでも半年以上、ようやくケリが付いた。既に次の仕事のオファーが入っていたが、束の間のオフを楽しむことにした。ヒゲを伸ばし、好きな時間に起きてやりたい事をやる。溜まっていた新聞・雑誌を丹念に読んで世界の動きを把握し、自社の戦略を練った。ゴルフの練習に疲れると、夜は国分町で呑んだ暮れる。人間にはこういう時間が絶対に必要だと強く感じる。 加藤昌典の会社とはもう直接関係してはいなかったのだが、ビルのロケーションが国分町にほど近いってことで、用も無いのに顔を出しては昌典や奥寺優子の仕事の邪魔をして、日が暮れると昌典と繰り出すのが日課となっていた。 昌典は元々技術員として入社したのだが、針生もサポートとして在籍したショールームのオープンに伴って転属となり、販売促進ということで半ば営業みたいな仕事をしていた。しかし、昌典の会社では営業専門の研修を終了した者と一般職はキャリアパスも給与体系も異なる。収入を増やし、上の地位へ進む為に1年間の研修を受けて営業職になろうと決意した。 変われば変わるものである。リーゼントにサングラスという高校生のノリのまま顧客のコンピュータを壊していた入社当時には考えられない事だった。飲む・打つ・買うは何でも来い、出来ないのは仕事だけという不良で、いつクビになってもおかしくはなかった人が、である。 もっとも、営業研修を受けたからと言って、遊び好きが治る筈は無い。収入が増える分、遊びも大きくなるだけなんだが、まぁ遊びをとったら何も残らない人だから仕方が無いか。 1ヶ月の半分は東京で研修という生活が始まった。品川プリンスに泊まり込み、一回り年下の新人達とお勉強である。人生経験は豊富だったが、今までまともに勉強したことなどなかった昌典にとっては良い機会だった。真面目にやればパニック癖も治るかもしれない。 「あの昌典さんが缶詰でお勉強だってさ」 という針生からの報告を聞いた瞳はこっそりホテルを訪れることにした。勉強に厭きてきた昌典は突然の来訪を喜んだが、情けないことに 160 円しか手持ちが残っていなかった。会社の費用で勉強に専念していて、なぜ金が無くなるのか不思議だ。 瞳に電車賃を借りて無事に金を下ろした昌典と呑みに行く。お喋りな瞳は問われもしないのにベラベラとここ数ヶ月間の出来事を洗いざらい自白した。 「へぇー、あのハリーとねぇ…」 針生が瞳を気に入っていたのは最初の日から明らかだったが、自分が知らない間に勝手に進展してるってのはなんか悔しい。それに、瞳がハタチの頃から知っている昌典から見ると、よりによって針生かよ~ という思いもあった。 「昌典さんに全部喋っちゃったからね」 針生が昌典にからかわれるのが楽しみな瞳は愉快そうに電話してきた。 うぁ、なんという事をしてくれたんだ! 針生は新車を発注して上機嫌だったのに冷水をぶっかけられたようなショックだった。「いや、たまたま東京出張だったんで電話してみたら呑もうってことになって…」などと早くも弁解の言葉を思い浮かべてみたが、落ち着いてくると、どうして昌典さんに言い訳しなきゃなんねぇんだよ、と開き直ってきた。それよりも、自分から言いふらすってことは猫がワシの家に居着く気になったと解釈していいのだろうか? 続く
by HarryBlog
| 2008-11-11 23:49
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