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ITコーディネータ 針生徹 の blog
萌芽
頭数合わせ繰り上がり値踏み遠距離

 瞳は、東京での仕事が終わってから新幹線に乗ったので仙台に着いたのは8時頃になってしまったが、予め電話して誘っておいた奥寺優子との待ち合わせ場所に、仕事先の菓子屋からビスケットを定価で買わされた針生も来たところだった。
 たまたま優子にホワイトデーのプレゼントを持ってきたソフトハウスの SE 石川義進も連れてトナカイを食べに行く。石川は針生が優子の居るコンピュータメーカーのショールームで働いていた頃の同僚でもある。
 生憎、おばさん軍団の宴会で混んでいて、カウンターに縮こまって飲み始めた。何故か、優子・瞳・石川・針生という順に並んでしまって面白くもなんともない。
 石川はトナカイの食べ過ぎで鼻が赤くなっていたが、今年もクリスマスが来なくても言い訳ができるように、残ったトナカイも一人で食べてしまった。

 満腹になり、夜はこれからだと思ったら、石川と優子は帰ってしまった。 おぉ? 今年は石川にもクリスマスが来るだろうかね?
 などと、他人の心配をしている場合じゃない針生は、瞳をカフェバー風のカラオケ屋に連れて行って必死に口説いたのだが、瞳は適当にあしらった。

 「いくら出張中とは言え、どうしてホワイトデーにこんな変な人と一緒にいるのだろう?」

 瞳は、針生が検討対象になりつつあることを認めない訳にはいかなかったが、もうしばらく様子を見ようと思っていた。インストラクターとして旬な今は頑張って稼いで、まとまったお金ができたら海外旅行でもして人生についてじっくり考えよう。

 翌日、針生は数年ぶりに訪れたハッピーバースデーを期待して仕事先から帰ってきたのだが、何度ホテルに電話しても瞳はずっと不在だった。CD でもプレゼントするつもりだった瞳は、仕事を終えると同じインストラクターをしている中島の奥様と一緒にレコード屋を探しに街へ出たのだが、見つからないままお腹が空いてきたのでそのまま二人で呑みに行ったのだった。一応針生の留守番電話にはメッセージを入れておいたが、不良妻と話が盛り上がるうちに針生の事などすっかり忘れてしまった。
 「まぁ、こんなもんか」と針生は思いながら、悔しいからホテルのレストランで呑みながら待ち伏せすることにした。もうほとんどストーカーである。
 真夜中にホテルへ戻った瞳は、ロビーから見える席に座っている針生を発見して驚いたが、もう食欲もお喋り欲も満たされていて、後は睡眠欲だけだったので、針生を邪険に追い返す。
 泣きながらトボトボと家へ帰った針生に、瞳から電話が入った。「日付変わっちゃったけど、おめでとう! 明日 CD あげるからね」 うぁ、こりゃ効きますなぁ。
 手練れと言うよりは天然なのだろうが、どっちにしろ針生なんかが敵う相手ではない。翻弄されながらも、そんな彼女の術中に填るのも悪くはないかと思い始めていた。

続く
by HarryBlog | 2008-10-05 12:03 | Bubble | ↑Top  
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針生 徹

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