わざと叱られるようなことばかりやったり言ったりしている次男君を見ていると、やっぱり相手して貰いたいんだよなぁ、と自分の頃を想い出す。
中学で体育用具室の引っ越しがあった。
「だりーなぁ…」
こいつとバカ話をしながら、重そうな荷物をアリみたいに一生懸命運ぶ級友達を眺めていた。
新しい部屋で指図をしていたらしい先公の姿が見えたってことはそろそろ終わりそうな頃なんだろう。なんか1つぐらいは運んでアリバイを作っておいた方が良さそうだぞ。
古い部屋へ入って物色するが、既にあらかた片付いていた。なんだ、ワシらがやらなくてもちゃんと世の中動くじゃん。感心感心。
一人でも楽勝で 10 本ぐらい持てる竹の旗かなんかが数本残っていた。
「これを二人で運んだら絶対何か言われるよな」
「何て言われるか試してみようぜ」
バレーボールの選手としていい所まで行った体育教師。190cm 近くあって胸板の厚い強面タイプである。腕組みをしたそいつがジーっと見つめる前を竹竿を前後に担いで通る二人。目を合わせないように真っ直ぐ前だけを見据えるが、自分でもバカらしくてこみ上げてくる笑いを抑えて神妙な顔をするのが辛い。
「おいっ、それを置いてちょっと来い!」
何て言われるか、などという間もなく、思いっきり殴られた。
「なんか言いたいことあるか?」
いえ、何もありません。見捨てないでくれてありがとう。 とっても痛いですけど。