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ITコーディネータ 針生徹 の blog
繰り上がり
頭数合わせ

 4人は、でっかいおにぎりが売り物の居酒屋へ入った。ビールを水のように呑む針生を見て、瞳は安心した。呑んべに悪い人は居ない。
 やがて、優子が時間切れで帰った。タケ坊は、針生も一緒に帰ればいいのにと思ったが口には出さず、次の店で酔い潰れるだろうと諦めた。

 一方、瞳は昌典との約束の時間を気にしていた。

 「わたし、加藤さんと約束してるの」

と言って帰ろうとしたのだが、タケ坊が狙った獲物を離す訳が無い。結局ホテルまで一緒に来てしまった。すでに相当酔っ払っていた針生も訳が判らないままついていった。
 途中、変なオッサンにからまれるシーンもあったが、針生は間に入って話を付けてくれた。こういう時は頼りになる男だった。
 まさか男二人を自分の部屋に入れる訳にもいかず、ロビーに待たせて瞳は一旦部屋へ帰り、いつも持ち歩いているチンザノのボトルをあおった。

 秋田に居た昌典は、心配で仕事など手につかず、最後は放っぽり出して帰ってきた。息を切らせてホテルに入ったとたんにタケ坊の顔が見えて心臓が凍る思いだったが、隣でイビキをかいている針生に気が付くと安心した。この状況なら何も起こっていないだろう。
 4人で改めて呑みに行った。これではタケ坊も諦めるしかない。ヤケになってカラオケを歌いまくった。だが、チンザノが入っちゃった瞳と一眠りして元気になった針生の敵ではなかった。昌典は何の為に急いで帰ってきたか判らずちょっと頭に来ていたが、たくましく成長した瞳の歌を聞きながら笑顔を崩さなかった。さすが大人である。



 翌月もまた仙台での仕事が入っていた。今回は昌典も仙台に居ることを確認し、前日は早めにチェックインを済ませて仕事場へ顔を出す。優子はまたも用事があって一緒に行けず、何故かタケ坊は黙って帰ってしまった。既に契約切れとなっていた針生は行方不明と聞いていたのだが、不思議と呑みに行く時間になるともれなく付いてきた。

 ようやく昌典とゆっくり話ができた。人生について真面目に論議していた。インストラクターの世界も結構ディープな人間模様があるようで、酔っ払い針生も興味深く耳を傾けていた。

 昌典が先輩に呼び出されたので、皆でついていった。昌典は先輩と仕事の話をし、一緒に居た後輩の横河はバーのねぇちゃんと談笑している。タケ坊が居ないので代わりに針生が瞳を口説こうとしているが、瞳は無視してカラオケを歌う。もう何がなんだか判らんね。

 ホテルへ送っていく針生に瞳が呟く。

 「今日タケ坊さん来なかったでしょ」

 そう言えば、あんなに積極的だった奴がどうしたんだろ?

 「東京出張だからって一回六本木で呑んだのよ」

 あ、全て氷解した。勘違い君がしつこく迫って肘鉄食らったってことだね。

 「針生さんは大丈夫だよね?」

 えー。 大丈夫って言われても…

続く
by HarryBlog | 2008-02-03 18:29 | Bubble | ↑Top  
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針生 徹

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