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ITコーディネータ 針生徹 の blog
【10】集会
【1】ここから 【2】始まり 【3】ファーストコンタクト 【4】吹き溜まり 【5】社交場 【6】脇道
【7】下北沢 【8】キーマン 【9】土曜の夜の天使達

甲州街道を新宿から下ると、大原から明大前・下高井戸まで立体交差が続き、桜上水駅前通りが出てきたところの信号から先で、上を走る首都高4号線が中央高速方面へ曲がっていくのに合わせて環八高井戸方面へ分岐する。

この立体交差は、バイクで全開で上っていくとそのまま夜空へ飛び立つ発射台となる。首都高と並行なのでそれほどきつい R ではないけど、加速しながら身体を傾けていくと、強烈に後ろと外へ引っ張られ、いやもうこのまま飛んでしまった方が幸せかもしれない、と思ってしまう。

しかし、脇に仲間が走っていたら話は別である。意地でもスロットルは戻さず、G に負けないように足を踏ん張り、地面に顔が付くんじゃないかと思うほど身体を内側へ投げ出す。

視界に相手が入らなければ抜かれてはいない。その代わり、頂点を超えるとすぐに高速道路の柱が目に入り、猛烈な勢いで迫ってくる。しかも下りで今度は左コーナーである。壁を擦るほど膨らんだところで切り返し、そのまま壁を横向きに走っている感覚で頭を内側へ向けるが、見えるのは地面と壁だけの異次元トンネル。

それがフッと途切れ、再び高速道路と街並みを認識できたらジェットコースターは終わりである。高井戸出口の脇を抜けて、環八の信号を U ターンすると、今走り終えたバイクがズラっと並んでいる。何十台じゃきかない、いやずっと先まで途切れてないから数百だろう。

空いているところを探すのも一苦労だが、だいたい停める位置は決まってくる。エンジンを切り、タバコの煙を大きく吸い込む。ふぅ、なんとか飛ばずに辿り着けたな。

煤けた顔に涙の筋が走っている仲間と談笑している間にも続々と到着する。毎週土曜の夜、まずはここに集まり、ここから都内、あるいは三多摩か横浜・湘南等を目指すのである。

映画にまでなったことで、Black Emperor の名は一般にも知られるところとなり、それはつまり警察からも目の敵にされるということである。あちこちに網を張って小さなグループを狙うのは効率悪いし、有名チームを叩いた方がちゃんと取り締まっているという宣伝効果も高い。

もっとも、道交法改正まではただ集団で走っているだけでは取り締まりの対象ではなく、もちろんスピード違反や信号無視等はしているのだが、あれだけの台数の中で個別に捕まえたところであまり意味無いし、よっぽど悪質な犯罪でもしない限り、ガキの遊びと見逃していたように思う。むしろ交通機動隊などは自分達の方こそが走りのプロなんだぜぇ、なんて追い詰めるのを楽しんでいたようにさえ見える。

これに対してマッポ上等などと調子に乗っちゃうんだからやっぱバカだよねぇ。深夜の大井埠頭で乱闘するぐらいなら共食いみたいなもんだが、一般人に手を出しちゃぁいけません。

続く
by HarryBlog | 2006-07-29 22:02 | Teenage | ↑Top  
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針生 徹

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