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ITコーディネータ 針生徹 の blog
仙台屋敷 その2
家の造りも、東京の普通の借家育ちのワシから見るとまるで忍者屋敷のようだった。

仙台屋敷 その2_a0008364_14322132.gifトラックの車庫と並ぶ三和土の店舗、その脇にワシの遊び場となる帳場。上がり口から急な階段を登ると屋根裏部屋のような天井の低い二階がある。窓も小さいが、商店街から市電の走る国道4号線まで見渡せる。

一階の奥の障子を開けると、十二畳ほどの居間と、十畳ぐらいの食堂・台所が続いており、二階まで吹き抜けで天窓からの明りでかなり広く感じる。食堂の床は板張りかと思ったら全て外せるようになっており、その下は食糧庫になっている。

工場の従業員、と言うよりも奉公人と呼んだ方が相応しいが、彼らはその板の間に直接正座し、膳に乗せたおかずは一品、ご飯と漬け物、そして商品である味噌汁は食べ放題、これで安い給金を補っていたのだろう。我々家族は座敷にある大きな掘り炬燵で、おかずの品数も多かった。同じ空間に居ながら、主従の別はきっちり分けられていたのだね。

吹き抜けを見上げると、何故か中空に扉がある。その脇には梯子のような階段がバカ太い梁からチェーンでぶら下がっており、何かを操作するとその中空ドアへ登れるように舞い降りてくるのかもしれないが、遂にそれを見ることは叶わなかった。他に、電灯もぶら下がっていた筈だが、あまり記憶に無い。天井の明かり取りの他に、台所の壁面はずっと窓で、その二階部分もステンドグラスならぬ透明窓で、昼間の明るさは十分だった。

居間の奧には、例の金庫が押入に設えられた六畳間、祖父母の寝室だったのかな? 唯一窓が無い部屋でかなり暗かった。台所の奧には何故か玄関がある。客はトロッコ道を廻ってここから入るのであるが、屋敷の大きさからすると随分と小振りであった。やはり商家の表玄関は店舗ということなのか。

玄関から真っ直ぐ進むと先ほどの六畳間に突き当たってしまうので、客はすぐに右へ曲がらされ、ささやかな庭に面した廊下を通って広間へ。なぁんていうほど広くは無いな。居間と同じ十二畳か。仏壇があって法要時にはかなりの人が入った覚えがあるんだが。

二階も、同じ間取り。親族はそこで寝る。ガラス戸と廊下を挟んだ障子で仕切られているが、すきま風で冬は強烈に寒かったなぁ。廊下の突き当たりには件の中空ドア。危ないから鍵が掛かっていたと思うけど、やっばり好奇心には勝てずに覗いてみた。ガキの目からは結構な高さに思えたんで、助走をつけてダイブしてみたい誘惑に負けることはなかった。
by HarryBlog | 2006-02-18 14:34 | Memories
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針生 徹

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