暖かくなると冬眠から覚めて蠢き出すのは動物や虫達だけでは無い。平和ボケの日本で、有り余るエネルギーの捌け口を求めてバイクで彷徨う若者達だ。
ワシもバイクは好きで、免許書き換えを忘れて新車を手放さざるを得なくなるまでツーリングなどに良く行ったものだ。
風の中に身体を晒し、重力と遠心力を感じながら傾いていく世界。エンジンの回転数に従って音楽のように身体に響いてくる排気音…
しかし、奴等がバイクに求めている物はどうやら違うようだ。直管の集合を空ぶかしでレッドまでぶち込むのは、単にオスがメスに誇示したい、という本能だけなんじゃねぇのか?
蛇行しながら何度も行ったり来たりする奴等に毎週末深夜に起こされると、いくら温和なワシでも怒りがこみ上げてきたぞ。ちったぁ迷惑も考えろ!
大体あのバイクはなんだ? 角みたいに上向きに絞ったハンドル、あんなの手が攣るだけでカッコ良くもなんともない。メットなんかしない方が気持ちいいのは知っているが、排気ガスで煤けた顔に涙の線がクッキリと浮かんでみっともなくなるんだけどなぁ。イモ虫みたいな二段シートに野郎二人が跨ってる図もマヌケですねぇ。旗を持ってる奴も居るが、まるでチンドン屋だぜ。
というように周りから見られている事に気付かないのかねぇ。ガソリン代やら改造費に微々たる収入を全部突っ込んでもいい事なんてありゃしない。
女だって飢えてるのが多いから、それなりに相手は見つかるだろうが、「や~ねぇ、暴走族って下品で」と思ってる女も多い筈だ。
本当にモテたかったら、今すぐ足を洗って街へ出ないと、口八丁手八丁のナンパ師に食い尽くされて悲惨な青春を送るハメになるんだぜ。
って、なんだか経験者のような口振りだが…