歯医者が好きな人なんてまず居ないと思うが、ワシの場合はトラウマに近いものがある。
ワシが育った家の近所にモグリの歯医者が居た。初診料込みで 63 円とかいう診療費が魅力で通ったんだが、そりゃ酷いもんだった。ウィ~ンって唸りながら先っぽに回るヤスリが付いた奴、あれで突っついて痛い所を探す。患者が飛び上がると、じゃ抜きましょうか、って冗談じゃねぇぞ。
中学の頃、オプタリドンとかいう薬が流行ったことがあって、それを 10 錠ぐらい飲んでから行ったんだが、治療中は全然効かずに凄ぇ痛い思いをし、終わってからすっかりラリってかなり危ない状態になったらしい。
また、高校の同級生で、今でも定期的に会っている親友のうち二人も歯医者になったってのも影響しているかも知れない。こいつらを知っていると、どう考えたって歯医者がこの苦しみから救ってくれる存在とは思えんのだ。
だいたいあの耳元で響く破壊音は何なのだ? ペンチやヤスリ、レーザーなんて壊す為の道具ばっかり揃えやがって。身動きできないようにしておいてヌレヌレの恥部を覗き込むなんて、あんまり趣味がいいとは言えないよ。
でも「自然には治らない」という絶対的なマーケティングプロセスを持つビジネスモデルには憧れるな。ワシも見習って、自分にしか解読できない時限爆弾を顧客のシステムに埋め込んでみようかと考えたこともあったが、職業倫理が邪魔をして果たせなかった。やっぱりワシは根が善人だから歯医者みたいには生きられないのだな。
しょうがない、こんなこと書いてないで予約の電話を入れるか。