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ITコーディネータ 針生徹 の blog
主観的感覚質の特異性について
視覚や聴覚ってのは外界からの刺激を感知したそのままを認識しているのではなく、脳内でイメージを再構成し、さらにそれを見たり聞いたりしている自分の意識と共に記憶するのである。だから夢でもリアルな光景が映し出されるし、自分自身を含めた登場人物の会話もちゃんと聞こえてくる。

触覚や味覚はちと微妙。知覚信号とイメージの間に入る感情というフィルターの影響が大きいようだ。後から思い浮かべることも可能ではあるが、それは実際の身体感覚とは別物であり、体験時の感情とか感想を呼び起こしているだけのような気がする。

これが臭覚となるともう物理的な刺激ありきである。もちろん感情もイメージも強烈に伴うのだが、それが身体感覚と密接に、と言うよりイコールで結び付けられている。

クオリア(あるものがあるものであると「私」が意識する質感)は五感の中で嗅覚が最もはっきりしているが、その種類や濃度等のパターンが多いからか、あるいは何らかの生存の必要性からか、物理的刺激を直接記憶しているようなのであり、そういう流れ自体をクオリアとして認識しているのかもしれない。

同じ分子構成の空気に再び触れたら、たとえ数十年ぶりであろうと「あの匂い」と識別できるだろう。しかし反対に脳内だけでその刺激の感覚を思い起こすのは難しい。実際に鼻で嗅いでいない状態では、言葉による説明はおろか、自分自身でもただ「あの匂い」という識別子しか認識できないのである。

だから、臭いに過敏なワシでも香り付きの夢は見たことが無い。いや、もしかしたら嗅いでいる場面も出てはきているのかもしれないが、やはり実際に鼻の刺激を伴わないと体験したとは思わないのだろう。もっとも、覚醒していても匂いを想起する時は同様なので、それを指して香り付きの夢を見たと言う人は居るだろうけどね。

ところで、眠っている時って鼻は利くのだろうか? アロマテラピーとかリラックスする香りでぐっすりなんてぇ広告を見るが、あれは眠りに入る前までの話じゃないの? 本当にぐっすり眠ってしまってからも関係するのだったら、香り付きの夢を見たって人がもっと居ても良さそうなんだけどな。

あ、夢を見るのはレム睡眠だっけ? 浅い眠りの時だから有効なのかな? でも、これって確か身体活動が休止する時間だったよな。 じゃやっばり効かないじゃん?

まぁ鼻が全く利かないと火事にも気付かないで焼け死んでしまうからな。でも昔タバコでベッドに大穴開けたことあるし、豚の角煮を作ろうと火にかけたまま寝込んでしまい、部屋中ベトベトになるまで気付かなかったこともある。

寝ゲロに塗れたまま朝を迎えて髪の毛バリバリにしちゃう奴も居るが、これは睡眠の話ではなくただの世祓いだな。

えー。 とにかく、匂いや臭い、嗅覚や臭覚は、まだまだ分からないことの多い不思議な世界なのである。 心頭滅却すれば屁もまた香ばし! なぁんて絶対無理じゃよ。
by harryblog | 2007-09-16 22:47 | Moblog | ↑Top  
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針生 徹

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