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ITコーディネータ 針生徹 の blog
【16】黒い人々
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【13】出頭 【14】釈放 【15】ディスコ

既に廃校となってしまったのだが、世田谷・新宿・渋谷・目黒という第二学区、都立の全日制普通科高校では最低ランクの学群だった我が母校は小田急線梅ヶ丘駅が最寄りであった。学校自体は変哲も無いボロ高校であるが、この梅ヶ丘ってのが問題なのだ。

あの悪名高き(当時)國○舘と一緒なんである。今では共学となり、制服もブレザーとなったらしく、往時の影はほとんど見られないようであるが、校名からして分かる通り元々右翼の流れを汲んだ、国の為に死ぬる青少年を育成する私塾だった訳で、思想教育と共に体育会系と言うよりも軍隊並みの規律と上下関係により、死ぬまで闘い続ける不屈の精神と肉体を創り上げようというのである。頭で考えるより先に身体が動く、武道などのスポーツ選手とともに不良少年にとっても理想的な環境だったのであろう。中学時代から「どこどこの何某」と呼ばれるようなエリート?達が競ってその門を叩いて集まっていた。

腕に自信あり、反骨の気概を持つ一匹狼的な男が多いが、士舘に於ける先輩は絶対的存在であり、総武線とか東上線とか通学経路を同じくする者でヤクザ組織を模したXX一家と称していたらしい。

当時の士舘の制服は旧海軍式のホック留め詰襟で真っ黒、縁と袖章に蛇腹のモールが特徴である。経堂の並木製の中ランに寸胴。髪型は上級生になるとパンチやニグロパーマも居たが、基本はアイパーで固めたサイドバックである。何故か晴れた日でも長靴にビニール傘を持つ奴も多い。

で、電車の乗降時などはホームにずらっとこの威嚇するナリの1年坊主が並び、先輩の姿が見えなくなるまで大声で「押忍!押忍!押忍!」と唱和し続けるのである。

まぁ、小田急沿線では傍若無人なサンペンの姿を見ることが皆無なのは間違いなく彼等の存在のお陰ではあるのだけどね。とにかく凄かったからな、士舘 vs 朝高のバトルは。山手線を止めちゃったりして連日新聞を賑わせていた。

なんにしろ、他の健全な高校生にとっては、この黒い集団を見掛けるだけで胃が痛くなる。軍歌を大音量で流す右翼の街宣車に出会った時の気分を想像して貰えば分かるだろう。これが毎日ずっとなのだ。たまらんぜよ。
耐え難きを耐え 忍び難きを忍び
押さば引け 引かば押せ
是即ち自己滅却の精神也
我が道に いかに険しき山あれど
踏みてぞ越えん押忍の精神
そいつは結構なことだし、思想信条はご自由にどうぞでいいんだが、できればどっか余所でやって貰えませんかねぇ?

続く
by HarryBlog | 2006-09-04 07:50 | Teenage | ↑Top  
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針生 徹

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