広い湯舟に身体を伸ばし、掛け流しの波に漂いながら、凝固した毒素が溶けて、緩む毛穴から流れ出すのをじっと待つ。
やがて肢体の感覚が弛緩してゆき境界がどこにあるのか認識できなくなる。遂には骨さえも無くなってしまい、辛うじて頭だけがユラユラと湯面に浮かんでいるように思えてくる。
脳まで溶けてしまう寸前で意識を呼び戻す。
露天へ出て、開いた気道へ木々の気を吸い込む。風に揺れる枝葉の動きを眺めているうちにいつしか自分の中で同じリズムを刻んでいる細胞に気付き、それが全身に広がって、表面で風を直接感じ取れるようになったら再構築完了。
これでまた旨いビールをお迎えする準備が整いました。