データを集めれば自然に情報になる訳ではない。熱力学第二法則に逆らってエントロピーを減少させようとする行為そのものに意味が在るのである。
そしてそれは、CPU のような専門機能の単一部品によるのではなく、さりとて役割の決まった分散処理でもない。ネットワーク自体の活動の結果なのであり、その構成要素となる各ノードは自らがその場その時に存在する為に振る舞うだけだ。
各自が思い思いにリンクを拡げていこうとすると、ベキ法則通り多くのノードが繋がるハブができるのは必然であり、その方が効率はいいのかもしれない。でも、それは必ずそこを経由しなければ関係性を保てないということではない。
と言うよりも、ネットワーク自身が生き物だとすれば、経路は固定されておらず、ある時点のスナップショットでハブだったとしても、次の瞬間にはまた別の模様となるのである。
大きなハブに障害が起こったら、一時的にはパニックとなるだろうが、それでネットワーク全体が壊滅することはない。それを回避する経路によって生存は保たれる筈だし、そこが枢要であったほどそれだけ早く復旧させるべくエネルギーが供給され、次第によりしなやかな強さを獲得した新たなネットワークが形作られていくのだと思う。