何年か振りにガットギターを取り出して弦を張った。放ったらかしにしておいた割には状態は良くて安心したが、肝心の指の方がすっかり錆び付いてるじゃねぇかよ。って、元から下手っぴぃなんだけどな。
Antonio Sanchez 1001
(スペイン製)
トップはスプルースの単板、サイドとバックはマホガニーである。
クラシックやフラメンコではハカランダがきらびやかで艶やかな音だということで好まれるが、現在は取引制限によりバカ高くて手が届かない。代わりにローズウッドやメイプルの物が多い。
でも、ワシがやっているボサノバだともうちょっとカラっと乾いた音抜けの良さとともに丸みも欲しくて、マホガニーが似合うと思っている。
値段も手頃で、クロサワ楽器でピエゾとコンデンサの2マイクを内蔵させて5万円ちょっとだった。
弦は HANNABACH 900 ミディアム ローテンション。低音弦の銀の含有量が多いそうで、その為か、太くて円やかな音だ。高音弦はちょっと物足りない感じもするので、Pro Arte も併用したりしている。
ま、どうせ今の所ステージに立つ予定も無いのだから、ヤマハの安い弦でもいいのだけど、気に入った弦の響きが腹から伝わるとやはり至福なのである。
爪も全然手入れしていないが、演奏前に紙ヤスリで研ぐ時間は精神統一にも役立つ。調弦も、エレキだとチューナーでお手軽に済ますが、音叉の 440Hz にハーモニクスで不安定なナイロン弦を合わせるのは、自らの身体を音の中へ引き込んでいく儀式なのである。
握力が落ちて手が痛いが、忘れていた世界にしばし浸ろう。