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ITコーディネータ 針生徹 の blog
緑石
クレオパトラが愛したというエメラルドであるが、確かに透明なグリーンの輝きは神秘的である。しかし、大きな結晶が少なく、必ず内包物や微細なクラックが有るという物理的特性から、宝石として価値がある物を掘り出せるチャンスは極めて稀なのだ。

逆に言えば、量はそこそこ採れる。とは言っても、手作業のレベルの話である。クズ宝石や工業用ベリリウムの原料として売れるぐらいで、なんとか人夫の日当を賄うのが精一杯のようだ。

それでも、一攫千金を夢見ながら毎日を暮らせるのだから、都市部で食い詰めた野郎共が雪崩れ込んで来るのも当然だな。たまにC級品でも出れば、しばらくは遊んで過ごせる。あの山を食い尽くすまで蟻の群が途切れることは無いだろう。

さて、運べる程度の岩ならば、掘り出してからハンマーで砕く。大きな結晶は皆無だから、砂利程度まで細かく割る。それを洗濯機のお化けのようなドラム缶に入れてグルグル洗う。エメラルドの比重は約 2.7 との事で、遠心力を利用して細かい砂や軽い石だけ飛ばされる仕組みになっている。

一次をパスした候補は人間の目で選別する。作業台にぶちまけた砂利から緑っぽいのを選ぶのだ。うわぁ、小学校の色盲の検査で気持ち悪くなって吐いてしまった記憶が蘇ってきたぞぃ。

それらしいのを手に取ってみる。うぅむ…全然解らん! 六角柱のような気もするのだが、角ははっきりしていないし、表面もザラついている。透かしてみても、エメラルドグリーンってぇのとはなんか違うような…

先輩達は、チラっと透かしては、次々とコーラの空き缶に放り込んでいく。選ばれた石の特徴を良く覚えてから、自分もやってみると段々判別できるようになってきた。平均して直径 1~2mm 、長さ 5mm 程度である。表面は研磨すれば輝くのだが、内包物と色によってグレードが変わってくる。

一日やって、コーラ缶3本程度収穫というか選別される。そのうち、研磨に持っていけるのは十数個ぐらいだろうか? さらに、研磨師が拡大鏡を使ってプロの眼で鑑定する。結局買い取って貰えるのは 2~3 個になる。

ま、そう楽には稼げるもんじゃないねぇ。
by harryblog | 2004-04-04 20:23 | Travels | ↑Top  
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針生 徹

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