すっかり音楽ブログと化したな。
Elis :
渡辺貞夫
タイトルの Elis は、MPB(ブラジルポピュラー音楽)の女王であった故 Elis Regina のことである。彼女の2番目の夫として公私ともに晩年を支えた Cesar Camargo Mariano との初共演作でもある。
日本における西海岸系フュージョンの代表としてテレビなどにも盛んに露出していたナベサダであるが、元々 60 年代にボサノバを初めて日本に紹介したのは彼なのだ。ブラジル音楽へのサウダージは格別のものがあるのだろう。
貞夫さんはご存知の通り正統ビバップ直系と言えるジャズ奏者であるが、ブラジルやアフリカのリズムに乗せたときの彼のアルトの音色は独特の世界を描き出し、本来の意味のフュージョン、クロスオーバーを感じる。
共演者もいい味を出している。今やサダオバンドのバンマスみたいな存在となった Cesar Camargo Mariano による映画音楽のようなアレンジもよく曲に合っているし、彼一流のパーカッシブなエレピのソロもたっぷり楽しめる。
若くして亡くなったベーシスト Nico Assumpção の貴重なソロも聴ける。Live From Bahia の Vera Cruz における超絶さとはまた違うのだが、やはりベースで出てくるフレーズとは思えない。
ところで、サックスって人間の歌声に一番近いから、一緒に歌うと気持ちいい。昨日
xiaoxia さんの所へコメントした通り、ワシゃ絶対音感なんて持ち合わせておらんのだが、このアルバムは全曲脳内コピーしておる。
最後の Paciência という曲なんか歌ってると、もう痺れてどっかへ飛んでいきそうになる。運転中は危険だからやめておきましょうね。